オーストラリア検疫検査局ニュース 2007 

                                                                  

11月21日2007年 検疫検査官は馬の検疫規則を知らなかった−馬インフルエンザ問題
  8月にオーストラリアで馬インフルエンザが発生するまでは、オーストラリア検疫検査局(AQIS)の規則では、輸入される魚のほうが馬より優先度が高いとされていたことが、昨日シドニーで行なわれた馬インフルエンザ調査会で明らかになった。 馬のインフルエンザがいかにしてオーストラリアに入ったか、そしてどのような経路でニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州に広まったかを調査するこの調査会で、AQISは今年の事業計画で、生きた魚の輸入について監査する予定があったとしている。 また、調査会の2日目に、調査委員のイアン・カリナン前最高裁判所判事は、シドニーのイースタン・クリーク検疫センターのグレッグ・ハンキンス所長から、「今年にこの職に就いたとき、作業指示書がなにもなかったことを心配していた」と聞かされた。 AQISの生体動物輸入と到着後の検疫を担当するデービット・アイアンサイド ナショナル・マネージャーは、「監査は、もしそれが優先事項であると思われたときだけ行なわれる。 一番の優先権を持つのは事業計画である。 8月までは、魚以外の標準操作手順を監査するような優先権のあるものはなかった」と話した。 またアイアンサイド氏は、現在の役職に昨年の3月に就いたが、その前には動物や病気についての専門的な訓練は受けておらず、主な仕事はキャンベラでのスタッフの管理と、作業指示書の作成と配布であるとしている。 そして、同氏は、「ハンキンス氏がイースタン・クリークで現在の役職に就いたあと4月か5月に話をした。 ある時ハンキンス氏が電話をかけてきて、イースターン・クリークでの作業内容は何かを聞いてきた。 私は『AQISのイントラネットに多くの作業内容があり、そのほかにもある。 私は分からないが後日探してみる』と返事した」と語った。  調査会のトニー・ミーガー氏がなぜハンキンス氏がそのようなことを尋ねたのかを質問すると、アイアンサイド氏は、「イースタン・クリーク検疫センターには作業指示書がなく、スタッフも見たことがないとのことであった。 それで私の部下が、ハンキンス氏に猫、犬、馬の3冊の作業マニュアルをEメールで送った」と答えた。 (Source: AAP, 15/11/07 "Fish higher priority than horses")
11月14日2007年 日本向けマンゴの輸出検査率を2%に引き下げ − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、オーストラリア産マンゴを日本に輸出する際の検査比率を2%にすると発表した。 今回の発表は、日本政府の農林水産省(MAFF)とオーストラリア政府の農水林省(DAFF)との交渉によって5%から2%に引き下げられたことによるものである。 今回の検査率の引き下げの詳細については、オーストラリア検疫検査局(AQIS)の各事務所、Australian Mango Industry Association (AMIA)、 Australian Horticultural Exporters Association (AHEA)で入手することが出来る。 (Source: AQIS, Industry Advice Notice No.2007/39, 24/11/07 "Japan-Mango Exports")
08月23日2007年 UAE向けの果物・野菜の輸出検疫規則が緩和 − 豪検疫検査局
  アラブ首長国連邦(UAE)の農林水産省は、海外からUAEに輸入される緑の葉を持つ果物や野菜(特にイチゴやセロリ)に、トビムシ(Springtail:Collembola Hypogastruridae)が付着していると、一切輸入を認めていなかった。 事前のオーストラリア検疫検査局(AQIS)による輸出検査でトビムシが発見されれば輸出貨物のすべてが輸出できなくなり、輸出業者、航空会社、海外のバイヤーにとって問題となっていた。 業界では西オーストラリア州だけで、年間200トンの果物や野菜の輸出がキャンセルになっていると見ている。 これにより、オーストラリアの一部の輸出業者は、AQISの規則のためにリスクを負うことは避けたいとして、UAEへの輸出を諦めるところもある。 しかし、数ヶ月に渡る業界によるUAE政府やオーストラリア政府へのロビー活動により、「一切認めない」の姿勢から容認の程度が緩和された。 業界によると、これで輸出検査で拒否される比率が大きく下がるとしている。 今回のAQISの変更で、オーストラリアからUAE向けの果物や野菜の輸出が増えると業界は予想している。 (Source: Airacargo Asia-Pacific, 15/08/07 "UAE, AQIS breakthrough puts a smile back on")
08月09日2007年 口蹄疫の検疫検査強化のため、空港の旅客にも影響−検疫検査局

  オーストラリアへの口蹄疫の進入を阻止する検疫対策で、空港の旅客に遅れが生ずることが予想される。 イギリス当局は、イギリス南部で発生した口蹄疫の原因を調査しているが、オーストラリアはその対応に追われている。 ピーター・マクゴウラン農林水産大臣は、「イギリスに旅行してきた旅客は、手荷物、靴、衣服をエックス線で検査される。 イギリスからの肉や酪農製品は検疫検査局の職員にて没収される。 口蹄疫はオーストラリアの家畜産業を破壊させる重大な病気である。 空港での検疫に時間がかかり、旅客に迷惑をかけることになるが理解をして欲しい」と語った。 検疫検査局は、イギリスに旅行してきた人がこの病気の感染を広める可能性が高い、としている。 同局のカーソン・クリーフ広報担当は、「この病気は輸入食品によってオーストラリアに入ってくる可能性は少ない。 現在オーストラリアは、この病気を運んでくるような商品をイギリスからは、ほとんど輸入していない。 一部のチーズ、加工したチーズ、牛肉製品を輸入しているが、それらはスープやシチューであり加熱されており、ウィルスは死んでいる」と話した。 (Source: ABC, 06/08/07 "Australia beefs up foot-mouth quarantine") 

08月09日2007年 輸入シーフードに対する検疫検査を強化 − 農林水産大臣
  ピーター・マクゴウラン農林水産大臣は、「海外からオーストラリアに輸入されるシーフードに対し、今までの検査に加えて、Flouroquinolones, Quinolones, Penicillinsなどを含めた広範囲な抗生物質の検査が行なわれることになる」と発表した。 同大臣は、「今回の検疫強化の決定は、最近の検疫検査局(AQIS)による抗菌剤や殺虫剤の残留調査の結果により判断した。 一部の輸入シーフードを検査したところ、オーストラリアの基準を超える抗菌剤の残留が発見された。 それらは大きくは基準を超えておらず、すぐには食品安全問題にはつながらないが、調査ではいくつかの輸入シーフードがオーストラリアの基準を遵守していないことが分かった。 高い食品安全基準を保つ一環として、検疫検査局は監視の強化や新たな検疫検査を行い、輸入食品の見直しを行なうことになった。 新たな検疫検査により、輸入シーフードはオーストラリアのシーフード産業の高い基準に合致するようになり、消費者に安心を与えることが出来る」と話した。 (Source: The Hon, Peter McGauran MP, Federal Minister for Agriculture, Fisheries, and Forestry, Media Release, DAFF07/107PM - 1 August 2007 "Increased testing of seafood imports")
06月18日2007年 農産物に害を与える地中海白カタツムリを発見−タスマニア州検疫所

  タスマニア州の検疫事務所は、タスマニア全域の農場において、地中海白カタツムリ(Mediterranean white snai)の広域的な調査を実施しており、また、この害虫を根絶するために、餌によるおびき寄せ計画を始める。 このカタツムリは、オーストラリアの農業関係には良く知られる害虫で、穀物に被害を与え、時には、果実、アルファルファ、クロバー、エンドウ、豆、オイルシードを滅ぼすことがある。 2週間前までは、タスマニア州にはこの害虫は生息しないと考えられていたが状況は変わった。 一部の農家が、南オーストラリア州から搬入された大麦にこの害虫を発見し、検疫所に届けた。 タスマニア州検疫事務所のマネージャーのダニー・リアードン氏は、「現在10戸の農家がこの害虫を発見したことを確認した。 しかし、実際には、この10倍くらいの数の農家に、このカタツムリがいるかもしれない。 我々は今、今年の1月から大麦を輸入した業者を調べ、この害虫の搬入経路を調査中である。 幸いにも最近大麦を輸入した業者数は少なく、特定するのはそれほど困難ではない模様である」と話した。 (Source: ABC, 14/06/07 "Snail pest search in South Australian barley")

05月28日2007年 オーストラリアの輸入リスク査定体制に警告 − WTO

  輸入農作物への輸入リスク査定が制限的で、決定までの時間が長いとして、世界貿易機関(WTO)から、「オーストラリアは今後一層、訴訟の対象になる」と警告された。 この非難は、連邦政府が主催し、キャンベラで開催された、世界の代表者が出席した検疫会議で行なわれた。 WTOの主任カウンセルのグレッチェン・スタントン氏は、「多くの国々は、オーストラリアは貿易障壁として生物学的多様性を使い、不公平だと信じている。 一部の国々が懸念しているのは、オーストラリアが輸入リスクを査定する際に、終わりのないたらい回し状態が続き、長期に渡る事である。 まず、輸入リスク査定案が提出され、その次に関係者からのコメント、そして、査定案の改定、さらに多くのコメント、査定案の再改定と続き、また、より多くのコメントとなり、それが8-10年間かかり、オーストラリアに輸出を希望している国々には返事が来ない状態になっている」と話した。 一方、オーストラリア農林水産省に属する機関で、オーストラリアに入ってくる動植物に関する検査制度、およびこれを統括する政策庁であるバイオセキュリティー・オーストラリア(BA)は、「我々は、輸入リスクの査定の決定を最長2年間までにするように、現在検討している。 新しい作業計画は近々導入される予定である。 それによって、輸入リスク分析作業の方法が規定され、一定の作業の時間制限が設定するようになる」としている。 (Source: ABC, 24/05/07 "Quarantine process sparks WTO warning")

05月24日2007年 果物や野菜の検疫検査にエックス線を使用 − タスマニア州

  世界的なセキュリティーの取締り強化が、タスマニア州の検疫検査に思わぬ副産物を生むことになった。 空港で旅客の検査に使われる新しいエックス線の機械を、タスマニア州の検疫事務所が、同州に搬入される植物や動物の検査に使用されることになった。 タスマニア州はオーストラリアの中でも、最も検疫基準が厳しい州である(特に野菜や果物)。 同州の検疫事務所のサバティーン・セシール氏は、「5万ドルをかけた新しいエックス線の機械は、空港で金属や爆発物を探知するのに使われているものと同様のものである。 本来は、セキュリティー産業のために、プラスティック爆発物を感知する設定であるが、我々検疫所へのメリットは、果物や野菜のようなものや、動物や植物で作られたものも感知できることである」と話した。 (Source: ABC, 21/05/07 "X-raying vegetables in the quarantine campaign")

05月21日2007年 ミバエの蔓延防止に協力したタスマニアの人々に感謝−検疫検査局

  クイーンズランド・ミバエの幼虫が混入していた輸入グアバの調査を終えて、タスマニア州の検疫検査局は、タスマニアの人々の協力に感謝した。 輸入したスーパーマーケットのウールワースには、2,000ドルの罰金が科せられることになる。 シドニー野菜・果物市場の燻蒸消毒業者も、他州から果物を輸入する前に、いくつかの物流システムの改善を迫られることになる。 タスマニア州検疫検査局のマネージャーのダニー・リアードン氏は、タスマニアの人々たちの警戒が大いに役立ったとし、「グアバを買ったことを名乗り出てきてくれた人たちや、我々に連絡してくれたコミュニティーに大変感謝している」と話した。 Source: (ABC, 16/05/07 "Quarantine Tasmania thanks public")

03月29日2007年 種子の輸入業者が政府に輸入検疫検査規則の緩和を求める

  牧草の種子の輸入業者は連邦政府に対し、今年の種子の品不足を避ける為に、新しい検疫検査規則の一時的な緩和を求めている。 アメリカ産の牧草の種子であるホソムギの発注量は以前より2倍に増えているが、厳しい検疫検査規則の為に、種子の輸入の約5分の1が入国を拒否されている。 輸入業者によると、5,000トンの輸入種子のうち、300トンがバイオセキュリティー・オーストラリアによって入国を拒否された。 ビクトリア州の輸入業者のマイク・グード氏は、「オーストラリアの種子卸業者は干ばつの後、牧畜業者や酪農家から種子の供給を迫られている。 しかし、それが供給できない状態になれば、最終的な経済損失は3億5,000万ドルになる。 その中には家畜の減少によって、収入が得られない原乳や肉の加工業者や関連事業者も含まれる」と述べた。 一方、連邦政府のピーター・マクゴウラン農業大臣は、出来るだけ協力するとし、「規制を強化するときには、いつも初期段階で問題は起こる。 オーストラリア検疫検査局は、バイオセキュリティーや検疫の規準に妥協しない範囲で、迅速な輸入手続の必要性を十分に理解している。 輸入業者と協力して双方が満足していける方法を試みる」と話した。 (Source: ABC, 26/03/07 "Govt urged to relax seed quarantine rules")

03月19日2007年 ニュージーランド産アボカドに対する疥癬検査を廃止−豪検疫検査局
  ニュージーランドからのアボカドの輸入条件が2007年3月15日から変更になった。 オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、2006年11月20日からニュージーランド産アボカドに対して、疥癬(Sphaceloma perseae、avocado scab)のリスクから守る為に検疫検査を実施してきた。 しかし、その後の調査の結果、ニュージーランドにはこの病気が存在しない事が判明した。 それによって、2006年11月から行われてきた検疫検査は廃止され、それ以前の輸入条件に戻ることになった。 (Source: Australian Quaranntine and Inspection Service(AQIS), Public Quarantine Alert PQA0512, "Removal of quarantine measures against avocado scab for avocados from New Zealand")
02月19日2007年 外国の河川で使用した漁具や遊具を検査対象に − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、すべての国からの河川で使用されたフィッシング用具やレクレーション用具についての輸入条件の変更を発表した。 これは外来種の藻であるDidymosphenia geminateの侵入を防ぐ措置で、この藻は河床を粘性のある群落で覆ってしまうため、河川の美観を損ね、魚の餌となる川虫の生息を阻害する。、輸入にあたってはそれらの用具は輸入検査の対象となり、用具の乾燥や消毒が義務付けられる。 対象はボート、カヤック、カヌー、フィッシング用具、竿、疑似針、フィッシング・ブーツなどとなる。 (Source: Australian Qurantine and Inspection Service, Public Quarantine Alert  PQA0484, "Changes to import conditions for "Fresh Water Fishing and Recreational Water Equipment Used ex all countries")
02月19日2007年 干ばつの上に検疫検査局の料金が値上げ、果実・野菜輸出業者は苦悩

  オーストラリア国内での干ばつや国際的な競争が高まる中、果実・野菜輸出業者は、オーストラリア検疫検査局の料金の値上げに応ずる余裕がない、としている。 南オーストラリア州のブルマーズ・ボーダー・バレー・オーキッド社の輸出マネージャーのヒーサー・チャーチル氏は、「我々の商品のサクランボを輸出するコストが今までの150ドルから、500ドル-1,000ドルに跳ね上がった」と話す。 一方、オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、「いくつかの料金の値上げは20%で、我々のコストも上昇しており、過去5年間値上げは行われていなかった。 園芸諮問委員会を通して、今回の料金の値上げについては業界から合意を得ている」としている。 しかし、オーストラリアの野菜輸出業者の70%が加盟するオーストラリア園芸輸出協会は、「我々の協会は園芸諮問委員会に参加するような要請も受けていないし、今回の料金の値上げに我々には何も相談がなかった」反論し、マックスウェル・サマーズ会長は、「この次期の料金の値上げは、園芸輸出の減少に繋がる」と話した。 農業省の担当者は議会の予算委員会の公聴会で、「AQISは当初予定の10%以上の料金を課しており、すでに230万ドルものの余分な料金を徴収している」と非難した。 (Source: ABC, 15 Febaruary 2007 "Veg exporters blast fee hike")

02月01日2007年 米国向けコンテナー内へのカタツムリの混入に要注意−豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、「メルボルンとアデレードからアメリカ向けに加えて、シドニーからのコンテナーにも、リンゴマイマイ(vineyard snail)やトウガタマラガマイマイ(pointed snail)が混入していないか調べるアメリカ検疫官のターゲットになっている」と警告している。 現在カタツムリのシーズンで、AQISは、「荷主は輸出前の処理やコンテナー内にリンゴマイマイが侵入するリスクを軽減する方法を導入すべきである。 アメリカ税関国境警備局は現在日常的な検査を行っている。 同局は過去の検査で問題がない荷主には検査回数を減らし、問題があった荷主のコンテナーには厳重に検査を行っている」としている。 AQISは次のような対策を勧めている。

* コンテナーからカタツムリを除去する為の検査体制の導入
* 輸送、保管、清掃を含めたすべての関係する部門への対策徹底
* 輸出業者は空コンテナーを受領する際と貨物の搭載前にカタツムリの有無を確認
* 海上輸送業者や陸上輸送業者は空コンテナーの保管の際にはカタツムリがいない所を選び、コンテナーを貸し出す際にはカタツムリが侵入していない事を確認する

約1年前にメルボルンとアデレードからのコンテナーの中から大量のカタツムリが見つかり、アメリカ検疫局は検査を厳しくしていたが、昨年5月頃からそのような事例が減少したことから検査が緩やかになっていた。 (Source: LLDCN, 30/01/07 "AQIS warning on vineyard snail contamination in boxes to US")
01月22日2007年 フランス、スペインの木製梱包材規準名を承認 − 豪検疫検査局
  SPM 15とは、木製梱包材の植物衛生措置国際基準(ISPM)#15の略語として使われているが、フランスではNIMP15、スペインではNIMF15として呼ばれている。 世界貿易機構(WTO)の方針に基づき、オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、ISPM 15、NIMP 15、NIMF 15のすべての呼び名の梱包申請書を承認する事になった。  尚、これら以外の規準で処理された梱包材については、輸入業者の経費負担で、検査、処理、再輸出、廃棄が行われることを条件とされる。 (Source: Australian Quarantine and Inspection Service , Public Quarantine Alert PQA0416, "ISPM 15 acronyms used in France and Spain")